中出坂蔵1970.№500D メンテナンス作業 [ギター雑話]
再びメンテナンス作業に取り掛かりました。
前回もビビリ対策でナット側をシムを入れて調整しましたが、
まだ完璧でない為,再び調整メンテナンスをした。
今回はサドル側を高くする調整です。
1970年代のギターのサドルも厚みがt1.3mmと薄く、
当然ブリッジのサドル溝も、このサドルに合わせて加工されてます。
現在のサドルはt2.5mm~t3.0mmが標準の厚みです。
今回はビビリ音を消すために弦高を高くするので、サドルを交換する必要が有ります。
このギターのサドル溝を削る作業をする事にした。・・これが大変な作業です。1.3⇒2.3溝に加工した。
溝にヤスリを入れて時間を掛けて溝(木材)を削り、溝を広げて行く作業です。
交換サドルはt3.0mmです。サドル側は溝の入る深さ分だけ骨棒を2.3mm削りました。
半日掛かりの手間のかかる作業でした。
この調整作業は何度も弦を調弦して確認しては、調整し直しで,やっとビビリ音が解消した次第です。
弦高は低ければ弾き易さが有り、高ければ其れなりの弦を抑える力の負担が掛かり弾き難いです。
今回は12F6絃で3.5~4.0mm限界範囲で収められた。音質は高くなった分は響きが良い。
失敗はブリッジのサドル溝をヤスリで削った時に、
ヤスリを滑らせてブリッジの木とTOP板にキズを付けてしまいました。
マスキングテープを貼って保護すればよかったと・・後の祭りです。
キズ付いたトップ板 ↑ キズ付いたブリッジ ↑
糸巻・・中出坂蔵のペグは軸間が39mm・・軸は古く黄色に変色、ギアも多少は劣化している。
壊れていないが糸巻は消耗はしている。 ↓ 旧式39mmペグ
・・・・
新品と交換するか迷ったが、39mmペグは旧式で今は殆ど有りません。
オークションで新品が出品されていたが、値段が安くはない!・・考え考えて判断を下し落札しました。
新品ゴトーの39mmペグを中出坂蔵ギターに取り付けました。 新品はイイですね~・・
ネックの反りの問題
当然ストレートが良いのですが、長年眠ったギター、乾燥、湿気などの要因でネックも動きます。
弦を張った状態で力の引っ張りが加わり順反りになり易い。
ネックは棹と指板が張り合わされて動きます。
逆反りは乾燥によって順反りと逆方向に変化する。
其の事によってローポジションのビビリ音が発する。
始末に負えない、厄介な問題です。
中出坂蔵ギターは約54年間経過してますので管理の問題も有りますが、
この様なネックの反りの問題は有っても不思議では有りません。
幸いにして今回のギターはストレートに近い極僅かな逆反りの為、
ビビリ音のメンテナンスが出来たのです。・・・逆反りは太刀の悪い性格の物です。
フレットと弦の干渉をチェックした。1Fの弦高も高過ぎず低すぎず調整しました。
サドル調整により12F6絃と1弦の弦高を限界(弾き易い限界値)までに調整しました。
・・・・・・以上、中出坂蔵’1970のメンテナンスです。